20041031 静岡・茶畑死体発見1週間 有力手がかりなし(朝日新聞)

(写真とキャプション)
茶畑と水路の間に遺体が埋められていた=静岡市水見色で

藤枝市に住む生協職員蒔田晃さん(37)が刺殺され、静岡市水見色の茶畑で見つかった事件は、30日で遺体発見から1週間がたった。県警捜査本部は顔見知りも含めた複数犯の可能性が高いとみて、現場周辺や職場など延べ300人を超える関係者から事情を聴いているが、容疑者につながる有力な手がかりは依然、得られていない。

蒔田さんの遺体は土中にうつぶせに埋められていた。左側の胸と腹に鋭利な包丁様のもので刺された傷が計2カ所あり、死後1カ月とみられる。携帯電話や約5千円入りの財布、免許証、両方の靴が無くなっていた。現場付近に争った形跡はなく、別の場所で殺されて運ばれたとみられる。

調べによると、事件の疑問点は三つだ。

【失踪(しっそう)の経緯】
9月16日午後7時半ごろ、焼津市内の職場を1人で出た。その後の足取りがつかめていない。通勤用の自家用車は従業員駐車場に置いたまま。施錠され、カギが遺体とともに見つかった。捜査本部は職場を出て駐車場まで歩く間に声を掛けられた、誰かと会う約束があった、などと推定。あまり間を置かずに事件かトラブルに巻き込まれたとみている。

【動機】
公園で2人の子供とキャッチボールする姿をたびたび近くの住民に目撃されるなど子煩悩だった。生活にも派手な痕跡はなく、幼なじみの友人は「こんな事件には無縁の男。いなくなった時は自殺してなければいいと思った」と言う。一方、週末に休めない勤務体系などを理由に「仕事を辞めたい」と漏らしていたが、殺人につながるような職場でのトラブルは確認されていない。捜査本部は携帯電話の発着信の記録を調べるなどして交友関係の調べも進めている。

【遺棄現場】
遺体が埋められていたのは茶畑の隅で、民家も遠くなく、比較的人目につきやすい。穴は数十センチとそれほど深くなく、そばに石を置いて丸太が渡してあったなど不可解な点もある。地元住民によると、石と丸太は遺体発見の10日ほど前から目撃されるようになった。現場近くの農道では9月末から今月半ばにかけて見慣れない車が計3度、目撃されているが、事件との関係は分かっていない。